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婦人科検診(子宮がん・乳がん検診)
婦人科検診(レディースドック)は、女性特有の疾患を早期発見・予防するための重要な健康診断です。
特に子宮がんや乳がんは早期発見が重要であり、適切な検査を受けることで、ご自身の健康を守ることができます。
このページでは、子宮がん検診や乳がん検診の具体的な検査内容や流れ、自己診断の重要性、そしてよくある質問への回答を詳しく解説するほか、当院で受けられる検査方法も紹介しています。
検診を検討している方はぜひ参考にしてください。
婦人科検診(レディースドック)とは
婦人科検診とは、女性特有の疾患を早期発見するためにおこなう検査です。
主な検診としては以下の2つが挙げられます。
検診 | 検査対象 | 検査方法 |
---|---|---|
子宮がん検診 | ・子宮がん(子宮頚がん・子宮体がん) ・卵巣がん ・子宮筋腫 ・子宮内膜症など | ・子宮頸部、子宮体部細胞診 ・経膣超音波検査 |
乳がん検診 | ・乳がん | ・視触診 ・マンモグラフィ ・乳腺超音波検査 |
受診費用は数千円から数万円程度です。
任意の検査なので、基本的に全額自己負担ですが、万が一異常が見つかった場合の二次検査には保険が適用できます。
女性医師や女性技師が対応してくれる施設も多く、受けやすさに配慮している施設も多くあります。
がんに罹患しても初期は自覚症状がほとんどありません。
そのため定期的に検診を受けてご自身の健康状態をチェックすることが非常に大切です。
早期発見のためにも、婦人科検診は女性なら誰もが積極的に受けたい検診といえます。
子宮がん検診
子宮がん検診は、特に次のようなタイミングで受診するのがよいでしょう。
- 20歳以上になったら2年に1回
- 妊娠を考える際に妊婦健診の一環として
- 不正出血や性交時の痛みなど異常があるとき
ただし、次の方は受診できません。
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある方
- 避妊リングを装着している方
- 生理中の方
- 子宮摘出術を受けた方
- 抗凝固剤を服用中の方
- 血小板減少症の方
当院で行える検査方法
当院では、以下の検査を実施しています。
子宮頸部細胞診
子宮頸がん(しきゅうけいがん)の早期発見を目的に、子宮の入り口である子宮頸部(しきゅうけいぶ)を専用のヘラやブラシでこすって細胞を採取し、異常がないかを顕微鏡で調べる検査です。
日本では子宮頸がんに罹患する女性は多く、年間11,000人近くの方が罹患、約3,000人の方が亡くなっているといわれています。
予防のためには、早期発見、治療が大切です。
子宮頸部細胞診では「異形成」と呼ばれる、細胞ががんになる前の段階で発見できるため、20歳以上の女性は2年に1度を目安に受診するのが望ましいといえます。
子宮体部細胞診
子宮体がん(しきゅうたいがん)の早期発見を目的に、子宮の内部から細胞を採取し、顕微鏡で調べる検査です。
子宮内に細いチューブなどを挿入して子宮内膜の細胞を採取します。
子宮の奥に位置する組織を調べるため、人によっては不快感を覚えるかもしれません。
一般的な子宮がん検診では必ずしも行われるものではなく、何らかの疑わしい症状がある場合に、医師の判断で行われるケースが多いでしょう。
経膣超音波検査
子宮がんや卵巣がんのほか、子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣のう腫(らんそうのうしゅ)など子宮や卵巣の疾患を調べる検査です。
プローブと呼ばれる細い棒状の器具を膣内に挿入し、子宮や卵巣の状態を確認します。
多少の違和感はあるかもしれませんが、痛みはほとんど感じないでしょう。
さまざまな疾患だけでなく、小さな異常の発見もできるため、全年齢層の女性が年に一度は受けたい検査です。
ただし、細胞ががんになる前の病変やがん細胞の有無などは調べられません。
子宮がん検診の流れ
子宮がん検診は一般的に次のような流れで進められます。
問診
問診票を記入します。一般的に、以下の内容が含まれることが多いでしょう。
- 最終月軽日
- 月経周期
- 不正出血の有無
- 妊娠歴
- 既往歴
- 過去の検診結果
- 自覚症状
など
細胞診
子宮頸部細胞診を行います。
必要に応じて子宮体部細胞診や経膣超音波検査が行われることもあります。
少々出血する場合もあるので、ナプキンを持参しておくのが安心です。
検査結果の説明
通常、検査結果は1週間程度でわかります。医師の指示に従って来院し、説明を受けましょう。
乳がん検診
乳がん検診は、次のようなタイミングで受診するとよいでしょう。
- 40歳以上になったら2年に1回定期的に
- 家族に乳がんに罹患した方がいる場合は医師と相談して定期的に
- しこり、痛み、分泌物など異常を見つけたら
ただし、次の方は受診できません。注意しましょう。
- 妊娠中の方
- 授乳中の方
- 乳がんの治療中の方
- 豊胸手術、乳房再建手術を受けた方
- 心臓ペースメーカーを使用している方
40歳未満の方は超音波検査を、40歳以上の方はマンモグラフィ検査を受けることをお勧めします。
乳がん検診は、ご自身の年齢に応じた検査方法で受けることが大切です。
40歳未満の方は超音波検査、40歳以上の方はマンモグラフィ検査を受けることをお勧めします。
年齢に応じて推奨される検査方法が異なるのは、乳腺の濃さに違いがあるからです。
40歳未満の女性の乳腺は発達しており、その密度が高いため、マンモグラフィでは小さな異常を見逃してしまうリスクを否定できません。
乳腺の奥や隙間なども細かく確認できる超音波検査のほうが向きます。
しかし、乳腺は年齢を重ねるにつれ、その密度が減少し、脂肪組織が増加します。
そのため、40歳以上であれば、乳がんの初期段階の発見に非常に優れているマンモグラフィでの検査がよいのです。
月に1度は自己検診をしましょう
乳がんは早期発見によって約95%が治療可能といわれる疾患です。
そのため、自己検診の習慣化が非常に重要といえます。]
道具や技術も必要なく、自分で簡単に行えるので、月に1度は行うようにしましょう。
自己検診は次の方法で行います。
- 片方の手を頭の後ろに置いて横になる
- もう片方の手の指をそろえて、指の腹で乳房を上から軽く押しながらしこりの有無をチェックする
- 両方の乳房を触ってチェックする
- 鏡の前に立つ
- 両腕を挙げたり降ろしたりして、乳房にくぼみや変色、ひきつれはないかチェックする
- 乳頭をつまんで絞っても、赤または茶褐色の液体は出ないかチェックする
異常に気付いたら受診しましょう
セルフチェックで乳房の異常に気づいたら、自己判断せず、速やかに医療機関を受診しましょう。
特に次のような症状は、乳がんの初期症状かもしれません。
通常、乳がんの進行スピードはそれほど早くはありませんが、中には急激に進行してしまうケースもあります。
「おかしいな」と思ったら、すぐに医師に相談しましょう。
- しこりがある
- 乳頭から分泌物が出る
- ひきつれやくぼみがある
- 乳房の皮膚に赤みがある
- 乳房や脇の下が痛む
当院で行える検査方法
当院では、以下の検査を実施しています。
視触診
まず、医師が乳房を見て、次のような異常はないかを確認します。
- 皮膚のくぼみやひきつれ
- 皮膚の赤み
- 乳頭の分泌物の有無
- 左右の乳房の大きさ、形の違い
続いて、触診をしてしこりなどがないかどうかをチェックします。
自己診断では気付けない異常を発見してもらえますが、視触診だけでは発見できない病状もあります。
そのため他の検査方法も組み合わせることが大切です。
マンモグラフィ
マンモグラフィは、乳房をX線で撮影し、乳がんの兆候や異常を確認する検査です。
乳房を片方ずつ透明な板にはさみ、正面と斜めの2方向から撮影するのが一般的です。
早期乳がんの発見に非常に有効で、乳腺やしこり、乳がんの初期段階に現れる微細な石灰化を高い精度で見つけることができます。
特に40歳以上の女性は、命を守るためにも、定期的に受けることをお勧めします。
検査が不安な場合や痛みに対する懸念がある方は、事前に医師や検査技師に相談しましょう。
できる限り安心して受けられるよう配慮してもらえるはずです。
乳腺超音波検査
乳腺超音波検査(エコー検査)は、プローブと呼ばれる、高周波の音波を送受信する機械を使って乳房内部を観察する検査です。
特に乳腺密度が高い40歳未満の女性に適しており、しこりの形や内部構造を詳しく調べることができます。
放射線の影響や痛みの心配もないため、妊娠中や授乳中の方でも受けられます。
乳がん検診の流れ
乳がん検診は一般的に次のような流れで進められます。
問診
問診票を記入します。一般的に以下の内容が含まれる場合が多いでしょう。
- 乳がんの家族歴
- 乳房に痛みやしこりなど異常があるか
- 最終月経日
- 妊娠中、授乳中か
など
視触診
医師による視触診を受けます。
5〜10分程度で終わる場合が多く、痛みもほとんどないでしょう。
マンモグラフィ、または乳腺超音波検査
40歳以上の方はマンモグラフィ、40歳未満の方は乳腺超音波検査の受診が推奨されています。
検査にかかる時間は10〜20分程度です。
検査結果の説明
医師から検査結果についての説明を受けます。
視触診、乳腺超音波検査の結果は当日に教えてもらえるケースがほとんどです。
一方、マンモグラフィは、結果が出るまでに1週間程度かかる場合が多いでしょう。
万が一異常が見つかった場合は、医師の指示に従い、生検やMRIなどの追加検査を受けます。
よくある質問
ここでは子宮がん検診と乳がん検診についてよくある質問とその回答について紹介します。
子宮がん検診に関するよくある質問
子宮がん検診については、以下のような質問がよくあります。
子宮がん検診は痛いですか?
子宮頸部細胞診では、強い痛みを伴うことはほとんどないでしょう。
ただし、子宮体部細胞診の場合は、人によっては痛みを感じやすいかもしれません。
不安な場合は、事前に医師に相談してください。
子宮がん検診を受けるタイミングはいつがいいですか?
月経中は正確な検査結果が得られにくいため、避けるのが無難です。
完全に月経が終了してから受けましょう。
妊娠中でも子宮がん検診を受けられますか?
子宮頸がん検診は、医師と相談のうえ受けられます。
一方、子宮体がん検診は流産につながるリスクがあるため受けられません。
子宮がん検診は何歳から受けるべきですか?
子宮頸がん検診は20歳以上の女性に推奨されています。
子宮体がん検診は不正出血がある場合や、閉経後の女性が対象となり、医師の指示に従って受けるケースが多いでしょう。
子宮がん検診はどのくらいの頻度で受けるのがよいでしょうか?
子宮頸がん検診は2年に1回が目安とされています。
ただし、過去に異常が見つかった場合や、リスクが高いと判断された場合は、医師の指示に従って受けましょう。
子宮頸がんワクチンを接種していても検診は必要ですか?
必要です。
ワクチンは子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染リスクを減らす効果がありますが、すべてのタイプのウイルスを防ぐわけではありません。
防げないウイルスもあるため、ワクチンを接種しても20歳を過ぎたら2年に1度、定期的に検診を受けましょう。
乳がん検診に関するよくある質問
乳がん検診については、以下のような質問がよくあります。
乳がん検診は痛いですか?
マンモグラフィでは乳房を透明な板で挟むため、圧迫によって痛みを感じる可能性があります。
ただし、痛みには個人差があるため、必ずしも痛むとは限りません。
痛みを軽減するには生理後に受けるのがおすすめです。
乳腺超音波検査で痛むことはありません。
乳がん検診を受けるタイミングはいつが良いですか?
月経後1週間以内が最適です。
この時期は乳房が柔らかく、痛みや張りが少ないため、特にマンモグラフィによる検査は受けやすくなります。
乳がん検診は何歳から受けるべきですか?
国は、40歳以上からマンモグラフィを2年に1回の頻度で受けることを推奨しています。
ただし、家族に乳がんの既往歴がある場合や、しこりや異常を感じる場合など、気になることがあれば、40歳未満でも、超音波検査を含む乳がん検診の受診を検討するとよいでしょう。
妊娠中や授乳中でも乳がん検診を受けられますか?
マンモグラフィは放射線を使用するため、妊娠中は避けるべきです。
授乳中の場合も、乳腺が高濃度となるため、マンモグラフィは避けた方がよいでしょう。
いずれの場合も、超音波検査なら受けられます。
乳がん検診の費用はどのくらいですか?
自治体の補助がある場合、無料から数千円で受けられるケースが多いでしょう。
補助がない場合や自治体の補助を利用しない場合は、マンモグラフィは5,000~10,000円程度、超音波検査は3,000~75000円程度が目安です。
正確な費用は受診する医療機関に確認してください。

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